【アタカマ砂漠の固有種】アタカマ・レッド・ピグミー・スコーピオン

南アメリカのチリ北部にあるアタカマ砂漠に生息する全長3・5〜5㎝の小型のサソリである。

アタカマ砂漠は、太平洋岸に流れる冷たいペルー海流と海岸から急激にそびえ立つアンデス山脈の間にある、標高1300〜2000mにある盆地状の砂漠で、湿った空気が遮断され、年間雨量は10㎜にも満たない世界的にもかなり乾燥した砂漠である。
しかし、濃霧でも有名な砂漠で、本種は、こうした湿度と獲物から水分を得ていると考えられる。
日中は30度、夜間は15度まで下がるような地域で、本種は、日中は地中深い穴に潜み、夜になると地表に出て活動する。
 飼育するためには、温度では26〜28度程度を維持するようにし、乾燥地帯に生息しているとはいえ、浅い皿に水を入れてセットして、わずかな湿度を保ちたい。毒はそれほど強くはないようだ。

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■英名:Atacama Red Pygmy Scorpion
■学名:Caraboctonus keyserlingi
■分類:サソリ目カラボクトヌス科
■大きさ:体長3.5〜5cm
■分布:南アメリカ(チリ北部)
■毒性:あり
■攻撃方法:刺す、挟む

■生活環境:乾燥地帯
■日本での入手可能性:多くはないが、ペットショップや専門店で入手可能
■およその寿命:不明
■食性:昆虫、節足動物
■飼育する場合の餌:コオロギゴキブリ
■活動する時間帯:夜行性

【赤いけど3倍速いわけではない】チリアン・レッドディップド・スコーピオン

アメリカのチリに分布する体長6〜10㎝ほどのサソリである。英名にある通り、触肢の先が赤くなる。
かつてはチリアン・レザーバック・スコーピオン(Bothriurus coriaceus)と同種とされていたが、近年の研究により、独立種として扱われるようになった。

比較的乾燥した地域に生息し、石や倒木、植物などの下にくぼみ程度の穴を掘り、日中はそこに潜み、夕方から夜にかけて活動する。
雄は触肢が雌のものよりも大きくなることで判別できる。

飼育環境は、20㎝水槽やプラケースなどを使用し、床材にピートモスやヤシガラなどと砂や赤玉土などを配合するとよい。
温度は20〜25度程度を維持し、真夏の温度の上がりすぎに注意が必要である。湿度は飼育環境内に浅い皿に水を入れてセットするだけで、必要な湿度を確保できる。

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■英名:英名:Chilean Red tipped Scorpion
■学名:Bothriurus keyserlingi
■分類:サソリ目ボスリウリス科
■分布:南アメリカ(チリ)
■生活環境:やや乾燥した地域
■大きさ:体長6〜10cm
■毒性:あり
■攻撃方法:刺す、挟む
■日本での入手可能性:多くはないが、ペットショップや専門店で入手可能
■およその寿命:不明
■食性:昆虫、節足動物
■飼育する場合の餌:コオロギゴキブリ
■活動する時間帯:夜行性

【スケスケです】チリアン・レザーバック・スコーピオン

南アメリカのチリ中部からサンティアゴの温帯域に分布する体長6〜10㎝ほどのサソリである。おもに石や倒木などの下に、深い穴を掘り、単独で生活している。

チリの太平洋沿岸地域に生息するBothriurus属のサソリは多く、チリアン・レッドディップ・ドスコーピオン(Bothriurus keyserlingi)を含め、かつてはひとつの種とされていたが、研究の結果、各分布域によりそれぞれが独立種となった。

日本ではまだ希な存在であるが、国外での飼育例は多く、20㎝水槽やプラケースなどの大きさで十分飼育できる。
床材は深めにセットし、温度を20〜25度程度を維持する。浅い皿に水を入れたものや、スポンジに水を含ませたものをセットし、湿度を60〜70%に保持するようにする。基本的には単独飼育である。
食物は餌用コオロギゴキブリを与え、野外で捕獲したバッタなどは寄生虫がいる可能性もあるため、餌用の昆虫を使用した方がよい。

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■英名:Chilean Leather back Scorpion
■学名:Bothriurus coriaceus
■分類:サソリ目ボスリウリス科
■分布:南アメリカ(チリ)
■生活環境:やや湿度の高い地域
■大きさ:体長6〜10cm
■毒性:あり
■攻撃方法:刺す、挟む
■日本での入手可能性:多くはないが、ペットショップや専門店で入手可能
■およその寿命:不明
■食性:昆虫、節足動物
■飼育する場合の餌:コオロギゴキブリ
■活動する時間帯:夜行性

【待ってました大本命】ダイオウサソリ

コンゴ民主共和国、コートジボアール、ガーナ、赤道ギニア、ギニアビサウ共和国、ナイジェリア、トーゴ共和国など西アフリカに分布し、おもに熱帯雨林や湿潤な環境で、自分で掘った深さ30㎝ほどの穴に生息している。

皇帝をイメージさせる種名のダイオウサソリは、大型でハサミも大きく、全長30㎝にもなるといわれる世界最大級のサソリだ。
飼育下では寿命は5〜8年、野生ではもっと短いと考えられる。毒性は弱く、人間を死に至らしめることはない。

ペットとしての入門種ともいえる種で、気性もおとなしく、動きもそれほど速くない。ハンドリングを楽しむ飼い主も多い。
夜行性で、野生ではシロアリやネズミ、トカゲなどを捕食しているが、同時に鳥、哺乳類、爬虫類など天敵も多い。ワシントン条約ではサイテス(付属書)Ⅱに指定されている。

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子サソリを背に乗せる雌

■英名:Emperor scorpion
■学名:Pandinus imperator
■分類:サソリ目コガネサソリ科
■生活環境:湿度の高い地域 大きさ 体長30cm
■分布:西アフリカ(コンゴ民主共和国、コートジボアール、ガーナ、赤道ギニア、ギニアビサウ共和国、ナイジェリア、トーゴ共和国など)
■毒性:あり
■攻撃方法:刺す、挟む
■日本での入手可能性:サソリとしては一般的
■およその寿命:5〜8年
■食性:昆虫、節足動物、小型脊椎動物
■飼育する場合の餌:コオロギ、ゴキブリ、ピンクマウス
■活動する時間帯:夜行性

【確かに赤っぽい】レッドクロウ・スコーピオン

東アフリカのタンザニアの熱帯雨林に生息している。その姿はダイオウサソリによく似ているが、やや小型で、触肢が赤みがかっているのが特徴である。湿度の高い熱帯地域に生息している。

 気性は猛烈な攻撃性があるわけではないが、ダイオウサソリよりもやや荒い面がある。
毒性は強くないものの、痛みを伴い、毒性に対するアレルギー反応も示されるので、アレルギー体質の方は十分気をつけたい。
 寿命は飼育下では5〜8年と長めであるが、野生ではそれよりも少なく、3〜7年程度と考えられる。

 飼育環境はダイオウサソリと同様であるが、温度、湿度ともに、やや高めに設定するとよい。
また広い飼育環境を準備すれば複数飼育も可能だが、ダイオウサソリのように安心しきれないので、気性を確認した上で複数飼育は行うようにする。

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■英名:Tanzanian Redclawed Scorpion
■学名:Pandinus cavimanus
■分類:サソリ目コガネサソリ科
■分布:東アフリカ(タンザニア)
■生活環境:湿度の高い地域
■大きさ:体長10cm
■毒性:あり
■攻撃方法:刺す、挟む
■日本での入手可能性:多くはないが、ペットショップや専門店で入手可能
■およその寿命:5〜8年
■食性:昆虫、節足動物、小型脊椎動物
■飼育する場合の餌:コオロギ、ゴキブリ
■活動する時間帯:夜行性

【巨大すぎる…!】アフリカン・ブラック・スコーピオン

かつては独立種として学名も存在し、日本にも輸入され、近年もアフリカン・ブラック・スコーピオンとして輸入・販売されているが、現在はダイオウサソリと同種とされている。

本種名はあくまでも輸入リストに記載されているものを信じてのことで、日本のペットショップなどが他意をもっているわけでない。
しかし、ここで気をつけたいのは、ダイオウサソリと同種ということは、ワシントン条約ではサイテス(付属書)Ⅱに指定されているということになる。
現地で捕獲・購入したからといって、個人が勝手に日本に持ち込むことはできない。

ただし、ダイオウサソリと同種とされているが、その他の種でも研究が未だ進んでいないこともあり、今後、亜種、または再び別種として格上げされる可能性もないとはいえない。本種の移動距離も多くないため、川を挟めば別種になるという可能性は、大いに秘めている。

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■英名:African Black Scorpion
■学名:Pandinus africanus(Pandinus imperator)
■生活環境:湿度の高い地域
■分類:サソリ目コガネサソリ科
■大きさ:体長30cm
■分布:西アフリカ(コンゴ民主共和国、コートジボアール、ガーナ、赤道ギニア、ギニアビサウ共和国、ナイジェリア、トーゴ共和国など)
■毒性:あり
■攻撃方法:刺す、挟む
■日本での入手可能性:サソリとしては一般的
■およその寿命:5〜8年
■食性:昆虫、節足動物、小型脊椎動物
■飼育する場合の餌:コオロギゴキブリ、ピンクマウス
■活動する時間帯:夜行性

【警戒音を出す!】シャイニー・バローウィング・スコーピオン

アフリカの南アフリカ、ボツワナ、ジンバブエやタンザニア、モザンビークなどに分布する中型のサソリである。本種は乾燥地帯のほか、時折霜が降りるような地域や、日中の気温が40度にもなるような、かなり温度変化の激しい地域でも知られている。地中に穴を掘って巣にするため、やや硬い土壌を好み、砂や柔らかい土壌の地域は避けるようである。

全長は9〜11・5㎝ほどで、体色はバラエティがあるものの、一般的にはさび色から黄褐色である。脚は透明感のある明るい黄色。
本種の毒は、痛みは伴うものの、健康な人間であれば、重篤な症状に陥ることはないといわれているが、確かな証言は得られていないという。
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鋏は非常に痛烈に締め付けてくるので、扱いは要注意である。気分を害すると、鋏角をこすり合わせて、甲高い警戒音を出す。

■英名:Shiny Burrowing Scorpions
■学名:Opistophthalmus glabrifrons
■分類:サソリ目コガネサソリ科
■生活環境:乾燥地域から高温地域
■大きさ:体長9〜11.5cm
■分布:アフリカ(南アフリカ、ボツワナ、ジンバブエやタンザニア、モザンビークなど)
■毒性:あり
■攻撃方法:刺す、挟む
■日本での入手可能性:多くはないが、ペットショップや専門店で入手可能
■およその寿命:不明
■食性:昆虫、節足動物
■飼育する場合の餌:コオロギゴキブリ
■活動する時間帯:夜行性

【チャグロサソリの最大種】ジャイアント・インディアン・フォレスト・スコーピオン

南アジアのインド西部およびマレーシアに分布するチャグロサソリの1種である。
チャグロサソリの中では最大になる種で、最大記録では体長23㎝にもなる。

熱帯雨林の至るところに生息し、昆虫やトカゲなどを補食する。
ダイオウサソリにも似ているが、より触肢が大きく、つやがなく、顆粒が目立つ。
やや茶色っぽい体色のものもいるが、一般的には黒っぽい茶色の体色である。自然界では3〜7年、飼育下では5〜8年の寿命がある。

大型になるため飼育種として人気があるが、日本国内での流通量は多くない。飼育環境は、ダイオウサソリと同様で飼育することが可能である。丈夫で長期間の絶食にも耐えるが、飼育上もっとも問題になるのは、温度・湿度の条件が悪く、脱皮不全を起こす場合。
また、飼育環境内の不衛生からダニが発生し、サソリにストレスを与えてしまう場合である。
飼育環境は、正しく設定し、食べ残しなどを片づけて、不衛生にならないように心がける。

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■英名:Giant Indian Forest Scorpion
■学名:Heterometrus swammerdami
■分類:サソリ目コガネサソリ科
■分布:南アジア、マレーシア
■生活環境:熱帯地域の地表
■大きさ:体長18cm(最大23cm)
■毒性:あり
■攻撃方法:刺す、挟む
■日本での入手可能性:多くはないが、ペットショップや専門店で入手可能
■およその寿命:5~8年
■食性:昆虫、節足動物
■飼育する場合の餌:コオロギ、ゴキブリ
■活動する時間帯:夜行性

【ダイオウサソリ似の人気種】マレー・ジャイアント・スコーピオン

マレーシアとタイに分布する大型の黒いサソリである。日本にはチャグロサソリまたはアジアン・フォレスト・スコーピオンの名で輸入・販売されている。

しかし、チャグロサソリはHeterometrus属の総称で、それらの中のマレーシアやタイ産のものが、本種である。
 湿度の高い森林に生息し、日中は倒木や岩の下に潜み、暗くなると昆虫などを補食するために活動する。
 ダイオウサソリにもよく似ているが、より毒性が強いといわれているが、人体に深刻な影響を与えるものではない。
日本では現在、厳しく規制されたサソリの中で、ほかのアジアン・フォレスト・スコーピオンとならんで飼育可能である。

 飼育環境は、ダイオウサソリと同様で、30㎝以上の大きさの水槽やプラケースに、ピートモスや腐葉土などの保湿性のある床材を使用し、石や倒木でシェルターを作っておくとよい。
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■英名:Malaysian black scorpion
■学名:■Heterometrus spinifer
■分類:サソリ目コガネサソリ科
■分布:マレーシア、タイ
■生活環境:熱帯地域の地表
■大きさ:体長約15cm
■毒性:あり
■攻撃方法:刺す、挟む
■日本での入手可能性:サソリとしては一般的
■およその寿命:7年以上
■食性:昆虫、節足動物、小型脊椎動物
■飼育する場合の餌:コオロギ、ゴキブリ、ピンクマウス
■活動する時間帯 夜行性

【アフガニスタンに分布してないかも!】アフガンダイオウサソリ

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南アジアのパキスタン、インド、ブータンなどに広く分布しているサソリである。

輸入される際には、本種は大抵アフガンダイオウサソリとして記載されているが、アフガニスタンは分布域には含まれていない
。しかし、広い地域に生息しているため、詳しい調査が行われていないだけで実際には分布している可能性もある。
英名でもインディアン・ブラック・スコーピオンとなっているが、インドを中心に広く分布しているHeterometrus属のため、かなり混乱している可能性がある。

 体色に特徴があり、背甲から腹甲が黒緑色で、触肢はやや赤みを帯び、脚が明るい黄色をしている。
体長は10㎝とされているが、それよりも明らかに大きな個体は存在する。
 飼育環境は温度を22〜27度程度に設定し、餌への食いつきによっては少し高めにするとよい。
浅い皿に水を入れ湿度を保つのと同時に、飲み水としてセットする。食物は餌用コオロギやゴキブリを使用する。

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■英名:Indian Black Scorpion
■学名:Heterometrus fulvipes
■分類:サソリ目コガネサソリ科
■分布:南アジア(パキスタン、 インド、ブータンなど)
■生活環境:湿度の高い地域
■大きさ:体長10cm
■毒性:あり
■攻撃方法:刺す、挟む
■日本での入手可能性:多くはないが、ペットショップや専門店で入手可能
■およその寿命:不明
■食性:昆虫、節足動物
■飼育する場合の餌:コオロギゴキブリ
■活動する時間帯:夜行性