【ネズミやタランチュラさえ襲う巨大ムカデ】ペルビアン・ジャイアント・センチピード

belpian1
南アメリカの北部・西部地方およびトリニダード・トバゴ共和国、ジャマイカ、イスパニョーラ島のハイチ共和国、ドミニカ共和国に分布する世界最大級のムカデ。その全長は42㎝という記録が残っている。
 熱帯雨林の地表に生息し、昆虫やネズミ、カエル、トカゲ、鳥、コウモリさえも捕食する。タランチュラですら、本種には食物のひとつである。
 非常に素早く、強い毒をもっている。人間が死に至ることはないものの、その毒爪にやられれば、激しい痛みや寒気、高熱を発するといわれている。その反面、古くから本種の毒は、リューマチや腎臓結石、いくつかの皮膚病および激しい傷に対する治療薬として用いられている。
 そんな猛毒のオオムカデは、飼育種として人気が高く、日本をはじめ国外で多くが取引されている。飼育には少なくとも60㎝水槽以上が必要である

belpian2
全長が 42cmにもなる世界最大級のムカデ

■英名:Peruvian giant centipede
■学名:Scolopendra gigantea
■生活環境:熱帯地域の地表
■分類:オオムカデ目オオムカデ科
■大きさ:全長25 〜30cm(最大42cm)
■分布:南アメリカ北部・西部
■毒性:蛋白分解酵素、ヒスタミン、セロトニン酵素など
■攻撃方法:刺す、咬む
■日本での入手可能性:多くはないが専門店で入手可能
■およその寿命:不明
■食性:節足動物、昆虫、小型脊椎動物など
■飼育する場合の餌:コオロギ、ゴキブリ、ファジーマウスなど
■活動する時間帯:夜行性

【イエローやブルーといった鮮やかなオオムカデ】タンザニア・イエローレッグ・センチピード

tanzania_yellow1

アフリカ各地に広く分布し、アルジェリア、アンゴラ、コンゴ、コンゴ民主共和国、エチオピア、マラウイ、南アフリカ共和国、スーダン、タンザニアなどから知られている。しかし、アフリカだけではなく、中東地域やオセアニアにも生息している。日本にはおもにタンザニアからの輸入のため、種名にはタンザニアとなっている。
 全長12〜15㎝とそこそこの大きさがあるが、ずんぐりむっくりしていて、逆に大きさ以上の重量感が感じられる。種名ではイエローレッグだが、国外ではブルーリングとよばれることが多く、体色にいくつかのタイプがある。サバンナや低木のある乾燥地帯の地表に生息し、昆虫やネズミなどを補食する。
 飼育環境は、30㎝以上の水槽やプラケースに、10㎝程度の深さに床材となるバーミキュライトに腐葉土を少し混ぜたものをセットする

tanzania_yellow2
卵を保護する雌

■英名:Tanzanian giant yellowleg centipede
■学名:Ethmostigmus trigonopodus
■分類:オオムカデ目オオムカデ科 大きさ 全長12〜15cm
■分布:アフリカ、中東、オセアニア
■生活環境:半乾燥地帯から熱帯地域
■毒性:蛋白分解酵素、ヒスタミン、セロトニン酵素など
■攻撃方法:刺す、咬む
■日本での入手可能性:多くはないが専門店で入手可能
■およその寿命 不明
■食性:節足動物、昆虫、小型脊椎動物など
■飼育する場合の餌:コオロギ、ゴキブリ、ファジーマウスなど
■活動する時間帯:夜行性

【羽をもつムカデ!? 空を飛ぶか!?】レッド・フェザーテール・センチピード

red_feather_1

アフリカのタンザニアやウガンダに分布する、尾の先端にフェザーとよばれる羽状の尾脚(曳航肢)がある、全長15〜20㎝ほどのムカデである。英名ではファン(扇)またはフラッグ(旗)テールともよばれる。
 いくつかの亜種が知られていて、分類がまだ微妙な面もあるため、今後、種名を含め、変更になる可能性は大きい。
 色の派手さや身体的特徴から、飼育種としては人気がある。気性もおとなしめで、専門店では比較的見られるムカデである。国外ではよく手で持っている写真が見られるが、あくまでも毒をもっているという事実を忘れないように。
 飼育環境は、しっかりとふたができる30㎝水槽やプラケースなどを用意し、床材は殺虫剤が使用されていないピートモスや腐葉土を深さ5㎝程度にセットする。温度は26〜30度ほどに設定し、湿度は高めを保つため、定期的に床材が湿るように霧吹きで水分を与える。
 餌は餌用コオロギやゴキブリ。個体の成長具合に合わせたサイズのものを選ぶようにする。

red_feather_2
red_feather_3
頭部(上)とフェザーテール(下)

■英名:Red Feather tail Centipede
■学名:Alipes grandidieri
■分類:オオムカデ目オオムカデ科
■大きさ:全長15〜20cm
■分布:アフリカ (タンザニア、ウガンダ)
■生活環境:熱帯・亜熱帯の地表
■毒性:蛋白分解酵素、ヒスタミン、セロトニン酵素など
■攻撃方法:咬む
■日本での入手可能性:多くはないが専門店で入手可能
■およその寿命:不明
■食性:節足動物、昆虫、小型脊椎動物など
■飼育する場合の餌:コオロギ、ゴキブリなど
■活動する時間帯:夜行性

【色違いの3つの亜種が楽しめる】ジャイアント・デザート・センチピード

giant_dezert_centi1
アメリカ合衆国南西部からメキシコ、中央アメリカに分布するオオムカデの仲間。

3つの亜種が知られており、基亜種のブラックテールとよばれるS. h. heros、アリゾナ・ジャイアントとよばれるS. h. arizonensis、レッドヘッド・センチピードとよばれるS. h. castaneicepsだ。

それぞれ種名にあるように、体色で分類されており、ブラックテールは黄色い体に黒から濃い青の尾があり、アリゾナ・ジャイアントは赤褐色に黒い帯がある。
レッドヘッドは青銅色から黒色の体に黄色い歩脚、赤い頭部である。それぞれ全長が15〜20㎝以上になる。
カラフルなことから、飼育種として人気がある。
地表棲で、地中にある程度の穴を掘る。暗くなってから行動し、昆虫やトカゲ、ネズミを補食する。
飼育環境は、60㎝水槽くらいのスペースがあった方がよい。
ニッソー NS-6M 黒

giant_dezert_centi2
ブラックテール

■英名:Giant Desert Centipede
■学名:Scolopendra heros
■分類:オオムカデ目オオムカデ科 大きさ 全長15〜20cm以上
■分布:アメリカ合衆国南西部からメキシコ、中央アメリカ
■毒性:蛋白分解酵素、ヒスタミン、セロトニン酵素など
■攻撃方法:刺す、咬む
■日本での入手可能性:多くはないが専門店で入手可能
■およその寿命:不明
■食性:節足動物、昆虫、小型脊椎動物など
■飼育する場合の餌:コオロギ、ゴキブリ、ファジーマウスなど
■活動する時間帯:夜行性

【老成個体はかなり地味な色に】チリアン・グリーンヴェルヴェット・タランチュラ

chilian_green1

南アメリカのチリとペルーの乾燥した山岳地帯に分布している。標高800M付近の岩の下に生息している。雄雌とも、ふ化後約2年で性成熟し、雌は約20年生きるといわれている。レッグスパンが10〜13㎝程度のそれほど大きな種ではなく、Thrixopelma属としてはポピュラー。動きは俊敏だが、気性は荒くなく、刺激毛を盛んに飛ばすということはないようだ。
 3㎝ほどに成長した子グモは、背甲に金属的な光沢の金ともグリーンともいえない色が現れ始める。成長とともに金色に近くなり、脚の大腿部は緑がかった漆黒になる。腹部は黒くなり、脚部とともに赤い毛に覆われ、グリーンは次第に失われていく。
 飼育環境は、30〜40㎝水槽やプラケースに、5〜10㎝程度の深さに床材をセットする。温度は24〜27度程度に維持し、湿度はタランチュラの様子を見ながら50〜70%程度にするとよい。

chilian_green2

■英名:Chilean Green-velvet Tarantula
■学名:Thrixopelma pruriens
■分類:クモ目オオツチグモ科
■分布:南アメリカ(チリ、ペルー)
■生活環境:半乾燥地域の地表、地中
■大きさ:体長5〜7cm(レッグスパン10〜13cm)
■毒性:あり
■攻撃方法:咬みつく、毛はあまり飛ばさない
■日本での入手可能性:多くはないが、ペットショップや専門店で入手可能
■およその寿命:約20年
■食性:昆虫、節足動物、小型のトカゲなどの脊椎動物
■飼育する場合の餌:コオロギ、ゴキブリ
■活動する時間帯:夜行性

【世界最大級のバードイーター】ゴライアス・バードイーター

golias1ゴライアス・バードイーター

南アメリカ北部の熱帯雨林に生息している世界最大級のクモ。その大きさは最大級になるとレッグスパンが30㎝以上にもなり、体重は200gを超えるといわれている。熱帯雨林の地上で、自ら掘った穴、もしくはネズミなどが放棄した穴を巣穴として利用し、夜になると活動する。
 雌は3〜4年で性成熟し、15〜25年の寿命がある。雄の寿命は3〜6年。生体の体表には細かく短い毛が密生し、チョコレート色になる。
 バードイーター(鳥食い)の名があるが、通常は鳥を食べることはほとんどなく、昆虫や節足動物、ネズミやトカゲ、カエルなどの脊椎動物、ときにはコウモリを捕食することもある。鳥を食べるといわれたのは、ビクトリア朝時代の研究者が、たまたまハチドリを補食している本種を目撃したことからと考えられる。

golias2
鳥を襲うとされる巨大タランチュラ

■英名:Giant Bird eating Spider
■学名:Theraphosa blondi
■分類:クモ目オオツチグモ科
■分布:南アメリカ北部
■生活環境:熱帯地域の地表、地中
■大きさ:体長8〜12cm(レッグスパン最大30cm以上)
■毒性:あり
■攻撃方法:咬みつく、毛を飛ばす
■日本での:専門店でも入手は少ない 入手可能性
■およその寿命:15〜25年
■食性:昆虫、節足動物、小型脊椎動物
■飼育する場合の餌:ゴキブリ、マウス、ひよこ
■活動する時間帯:夜行性

【世界最大の張りつきグモ】アシダカグモ

ashidaka1

アジアやカリブ海沿岸、オーストラリアなど全世界の熱帯から亜熱帯に分布し、日本の本州・四国・九州にも分布しているクモである。夜行性で地上や壁、天井を徘徊し、おもにゴキブリを補食する大型のクモで、人家付近や市街地の公園などに生息している。体長2〜3㎝、レッグスパンが10〜13㎝にもなる大型のクモで、雌の寿命は5〜7年にもおよぶ。
 本来は日本に生息していなかったクモで、江戸時代に輸入品に紛れて日本にやってきて帰化したもの。しかし、ゴキブリ退治には欠かせないクモで、本種を退治してしまうと、あっという間にゴキブリが殖えてしまうともいわれる。ハワイにも人為的に移入されている。
 ゴキブリやカマドウマなど、貪欲な食欲によって害虫を補食し、人間には害がないため、益虫であるが、本種が壁や天井をものすごいスピードで動き回るところは、不快感を感じるため、駆除されてしまうこともある。

ashidaka2
壁や天井でも移動する

■英名:Brown Huntsman Spider
■学名:Heteropoda venatoria
■分類:クモ目アシダカグモ科
■生活環境:熱帯・亜熱帯地域
■大きさ:体長2〜3cm(レッグスパン10〜13cm)
■分布:全世界の熱帯・亜熱帯地方、 日本(帰化)、ハワイ(帰化)
■毒性:なし
■攻撃方法:なし
■日本での入手可能性:野外で採集可能
■およその寿命:5〜7年(雌)
■食性:昆虫、節足動物
■飼育する場合の餌:コオロギ、ゴキブリ
■活動する時間帯:夜行性

【美しいベルベット調がいっそう不気味】パナマ・レッドランプ・タランチュラ

redlump_1
漆黒の体に、赤い毛が美しく、脚が長い大型のタランチュラで、中央アメリカ・カリブ海のパナマの地表に生息している。
食欲は旺盛ではないが、気性は荒く攻撃的であり、動きもそこそこ素早い。

英名にある「ランプ」とは、動物の臀部を意味するもので、その名の通り、腹部(尻)の部分に生える毛が赤いのが特徴である。
大型種のため、飼育容器は60㎝水槽以上の大きさが必要となる。
床材にはピートモスやヤシガラなどを用いて、温度は25〜28度程度を保ち、湿度も高めに維持する。
凶暴さから、世話をするときに、飼育容器のふたを開けただけでも脚を持ち上げて威嚇しガラスを登る勢いで迫ってくることもあるので注意が必要である。
毒も強いと思われるために初心者が扱えるタランチュラではない。経験豊富な上級者でも油断大敵である。

redlump_2
毒々しい牙はいかにも攻撃的だ

■英名:Panama Red Rump Tarantula
■学名:Sericopelma commune
■分類:クモ目オオツチグモ科
■分布:中央アメリカ (パナマ)
■生活環境:熱帯地域の地表
■大きさ:体長8〜10cm(レッグスパン約20cm)
■毒性:あり
■攻撃方法:咬みつく、毛を飛ばす
■日本での入手可能性:専門店でも入手は少ない
■およその寿命:不明
■食性:昆虫、節足動物類、小型脊椎動物
■飼育する場合の餌:コオロギ、ゴキブリ、ピンクマウス
■活動する時間帯:夜行性

【速・攻・毒の3拍子揃った悪相なやつ】フォート・ホール・バブーン

forthall2

東・南アフリカに広く生息するバブーンで、グレイ・スターバースト・バブーンともよばれる。
背甲に星形になる模様があるため、スターバーストの名がある。
また、腹部背面の模様は、個体によって変異はあるが、まるで人面のようで興味深い模様をしている。

比較的乾燥した環境に生息し、深めの穴を掘って巣穴にしている。
おもに昆虫や節足動物を補食している。2〜3年で性成熟する。
攻撃的で動きが素早く、油断していると脱走されたり攻撃をくらう可能性がある。
刺激毛はないが、やや強い毒性をもっていて、扱いには十分な注意が必要である。

飼育環境は、高さよりも床面積が重要で、穴を掘って巣穴を作るので、ピートモスや赤玉土などの床材を10㎝程度の深さにセットする。
温度は22〜28度、乾燥に強いが、飼育下では湿度は75%程度に維持するといいだろう。

forthall1
人面グモともいえる腹部の模様

■英名:Fort Hall Baboon
■学名 Pterinochilus lugardi 分類 クモ目オオツチグモ科
■分布 東・南アフリカ
■生活環境 乾燥地域の地表、地中
■大きさ 体長4〜6cm(レッグスパン12〜15cm)
■毒性 あり
■攻撃方法 咬みつく、毛を飛ばす
■日本での 多くはないが、ペットショップや 入手可能性 専門店で入手可能
■およその寿命 不明
■食性 昆虫、節足動物、小型脊椎動物
■飼育する場合の餌 コオロギ、ゴキブリ 活動する時間帯 夜行性