【特異な生態のスパイダー】アフリカン・レッド・トラップドア・スパイダー

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世界中に分布しているトラップドア・スパイダーだが、本種は南アフリカに棲息するStasimpis robertsiである。
トラップドア・スパイダーとしては、日本ではトタテグモ科の仲間のキシノウエトタテグモなどが同じトタテグモ目(Mygalomorphae)に属している。

 巣穴は地面に対してほぼ垂直に掘られ、その入り口は土や植物をクモの糸で補強し、カムフラージュされている。
そのふたの一方だけを固定してドアにしているのだ。
夜間になると、その扉にしがみつき、その近くを通った昆虫やほかのクモなどの節足動物類の震動を感知し、扉から素早く飛び出し、獲物を捕獲する。
 アフリカに生息するトラップドアー・スパイダーに関しては、その種類が多く、国内に輸入されてくる際の学名もあまり当てにならない。

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普段はトンネル内にいて、姿を現さない

■学名:Stasimpis robertsi
■分類:クモ目トタテグモ科
■分布:南アフリカ
■生活環境:亜熱帯地域の地中
■大きさ:体長3~4cm
■毒性:なし
■攻撃方法:咬みつく
■日本での入手可能性:専門店でも入手は少ない
■およその寿命:5~15年
■食性:昆虫、節足動物
■飼育する場合の餌:コオロギ、ゴキブリ、ミルワーム
■活動する時間帯:夜行性

【ブルー系の代表種として有名】コバルトブルー・タランチュラ

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タランチュラの中でも、強い神経毒をもっているが、人間が咬まれて死亡する事例は知られていない。
しかし、具体的な報告がないものの咬まれた部分は炎症を起こし激しい痛みに襲われるほか、体質によってはアレルギー反応を示す場合もあるので
扱いには注意が必要。

光沢を放つ金属的なブルーが鮮やかで、飼育種としても人気の高いタランチュラだ。
クモ類の特徴である雌が雄よりも体が大きくなることとともに、ブルーの発色も雌は美しく、雄は地味。
雄は性格が荒く攻撃的で、さらに動きが速いため、タランチュラの飼育に慣れた上級者向けである。
野生ではあまり立体的な活動はせず、昆虫や節足動物、カエルやネズミなどの小型脊椎動物を補食する。
長期間物を食べなくても耐えることができる。
日中は地上の穴で休み、夜になると雄は雌を探して活動する。

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雄のブルーはそれほど発色しない

■学名:Haplopelma lividum
■分類:クモ目オオツチグモ科
■分布:インドシナ半島 (ミャンマー、タイ)
■生活環境:熱帯地域の地中または半樹上
■大きさ:体長4~6cm(レッグスパン10~12cm)
■毒性:あり
■攻撃方法 咬みつく
■日本での入手可能性:人気種のため、ペットショップや専門店で入手可能
■およその寿命:20年以上
■食性:昆虫、節足動物、小型脊椎動物
■飼育する場合の餌:コオロギ、ゴキブリ
■活動する時間帯:夜行性

【派手ではないがブルー系】ブルー・フィーマー・ビューティー

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南アメリカのエクアドルやペルーに分布しているタランチュラである。体長約7㎝、
レッグスパンが約14㎝。比較的乾燥した地表に生息しており、日中は地中の穴で潜んでいる。暗くなると巣から出て地表で昆虫や節足動物などを補食する。
 飼育環境は、最低でも30㎝水槽やプラケースが必要で、穴掘りが得意なため、床材は10〜15㎝の深さが必要となる。温度は20〜26度程度を維持し、湿度はそれほど高い必要はないが、穴を掘れるように床材が固まる程度は維持したい。定期的に霧吹きして加湿するとよい。餌は餌用コオロギを与える。
 比較的おとなしい性質で、動きも速くはない。初心者にも最適である。種名にあるブルーの色は、雄に発し、雌では地味な赤茶色をしている。鮮やかではないが、ブルーの個体を望むのであれば、雄を探した方がいいだろう。

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地味な色の雌(メス)

■学名:Euathlus pulcherrimaklaasi
■分類:クモ目オオツチグモ科
■分布:南アメリカ (エクアドル、ペルー)
■生活環境:半乾燥地帯の地表、地中
■大きさ:体長約7cm(レッグスパン約14cm)
■毒性:あり
■攻撃方法:咬みつく、毛を飛ばす
■日本での入手可能性:多くはないが、ペットショップや専門店で入手可能
■およその寿命:不明
■食性:昆虫、節足動物
■飼育する場合の餌:コオロギ、ゴキブリ
■活動する時間帯:夜行性

【暗闇で浮かびあがるスケルトン模様】スケルトン・タランチュラ

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脚部が黒いベースに白いすじが入ることから、まるで骨格のように見えるためにスケルトンの名がある。
ブラジルなどの熱帯林の地中に自ら掘った穴や、他の動物の穴、樹上の洞などトンネル状の巣穴で生活している。
性格は凶暴な種として広く知られているが、よく観察すると決して凶暴ではない。
何かの物音に反応して威嚇ポーズをよくとる。個体によるが、凶暴というよりは、臆病なのかもしれない。

 また、素早く行動するため、飼育ケースを開けるときには、十分な注意が必要だ。
日本ではいつでも見られる種ではないが、古くから人気のある種のため、よく輸入されている。
 飼育環境は、穴を掘る習性のため、なるべく深めに床材を入れるようにするとよい。
また、飼育環境の温度は27度程度の高温が必要で、湿度も高すぎないような湿気が必要である。

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脚の白いすじが骨のように見える

■学名:Ephebopus murinus
■分類:クモ目オオツチグモ科
■生活環境:熱帯地域の地表
■大きさ:体長5〜7cm(レッグスパン11〜15cm)
■分布:南アメリカ(スリナム、ガイアナ、ブラジル北部など)
■毒性:あり
■攻撃方法:咬みつく
■日本での入手可能性:多くはないが、ペットショップや専門店で入手可能
■おおよその寿命:不明
■食性:昆虫、節足動物類
■飼育する場合の餌:コオロギ、ゴキブリ
■活動する時間帯:夜行性

【牛力でなくてギューリックさん由来】ギュリキマイマイ(ギュリッキマイマイ)

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日本のほぼ全土に分布するヒラマイマイ(Euhadra eoa eoa)の亜種で、近畿地方と徳島県南部に分布する日本固有のカタツムリである。
種名の意味は、本種を採集した人物の名で、アメリカの貝類学者で進化生物学者でもあり、宣教師でもあったジョン・トーマス・ギューリックの息子のアディソン・ギューリック(1882〜1967)に由来するものである。そのため、ギュリキマイマイやギュリッキマイマイ、ギューリッキ・マイマイなど、書式にばらつきがある。

 おもに山地に生息し、右巻きの殻径は4〜5㎝になる。殻の模様は褐色の地に濃い茶色の帯が入る。
4つのウズがはっきり分る1234型とよばれるものが普通だが、1番目と3番目の帯はぼやけることもあり、0204型の平地型のイセノナミマイマイという別亜種とされることも。

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右巻きでふつう1234型の模様が入る

■学名 Euhadra eoa gulicki
■分類:綱柄眼目オナジマイマイ科
■分布:日本(近畿地方、四国の 徳島県南部)
■大きさ:殻径は4〜5cm
■生活環境:温帯地域の地表
■毒性:寄生虫の可能性あり
■攻撃方法:なし
■日本での入手可能性:ごく希
■およその寿命 不明
■食性:植物
■飼育する場合の餌:?
■活動する時間帯:夜行性


▼京都府のページ
http://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/bio/db/gshel0019.html

▼いろんなマイマイ
http://euhadra.web.fc2.com/sub1.html

【世界中のやっかい者!巨大カタツムリ】アフリカマイマイ

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東アフリカのタンザニアやモザンビークが本来の分布域で、日本の鹿児島県と南西諸島、小笠原諸島の母島に人為的に移入された世界最大級の陸生巻き貝である。エスカルゴの代用品とされたため、日本以外にも東南アジアやスリランカ、台湾、ハワイ、カリブ海沿岸地域など世界中の熱帯域に分布を広げている。IUCN(国際自然保護連合)では、世界の外来侵入種ワースト100にリストアップされている。
 沖縄県では雨が降り、湿度が上がると、道路やマンションの壁などに集団で現れた。しかし、現在は駆除政策が功を奏し、市街地ではかなり少なくなった。
 ナメクジ同様、広東住血線虫の宿主であり、農作物などにも被害が及ぶため、日本では植物防疫法によって有害動物に指定され、各生息地からの持ち出しは禁止され、また、国外から日本への持ち込みも禁止されている。その他国外でも同様に厳しく持ち込みや移動が禁止され、世界中のやっかいものとされている。

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生命力が強く駆除してもなかなか減らない!

■学名:Achatina fulica
■生活環境:熱帯地域の地表
■分類:綱柄眼目 アフリカマイマイ科
■大きさ:殻径7〜8cm、殻高約20cm
■分布:日本(鹿児島県、小笠原諸島、南西諸島)
■毒性:寄生虫の可能性あり
■日本での入手可能性:日本への持ち込み禁止
■およその寿命:不明
■食性:植物
■飼育する場合の餌:?
■活動する時間帯 夜行性


▼アフリカマイマイ1300匹超を全米で捕獲、食害などが深刻化
http://news.ameba.jp/20140901-333/

▼多良間で大型2匹を確認/アフリカマイマイ
http://www.miyakomainichi.com/2013/06/50707/

地球博物学大図鑑

【超危険!! ナメクジの常識を超えたナメクジ】ヤマナメクジ

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日本の本州,四国,九州に分布する、全長10〜15㎝にもなる大型のナメクジである。
丘陵地から山地の雑木林内の地表や樹上などに生息し、藻類などを食べている。
体は長さ以外にも幅や体高もあり、重量感溢れるナメクジである。触角は短い。
背面には体色よりも濃い不規則な模様があり、体側も濃い色になる。

それほど特別な地域にいるわけではないが、夜行性で、特に雨などで湿度が上がったときに活動するため、頻繁に目にすることはない。日中は木の洞などに潜んでいるので、機会があれば、木の洞を確認して雑木林を歩くのもいいだろう。
一部マニアの間では、ペットとして飼っていることもあるが、ナメクジは広東住血線虫などの寄生虫をもっていることもあり、死亡者も出すほどの寄生虫でもあるため、取り扱いには十分な注意が必要である。もし、触ったら、よく手を洗わなければならない。

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寄生虫がいることもあるので、触ったらよく手を洗うこと。


▼「両親の庭にナメクジが出て困ってる」衝撃的だと話題の写真(閲覧注意)
http://labaq.com/archives/51784176.html

【とにかくキモい!】クロイロコウガイビル

「ヒル」といっても実はプラナリアの仲間

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日本各地に分布し、国外でもインドネシアやインドでも知られている。
「ヒル」の名があるが、実際にはウズムシ目コウガイビル亜目コウガイビル科に属し、プラナリアと同じ仲間である。
コウガイとは「公害」ではなく、頭部が半月型になり、昔の女性が髪飾りとして使用した笄(こうがい)に似ていることからの名である。本種は全長が1.3〜12㎝ほどで、全身がビロードのような黒色をしている。

日本には本種以外に、全長が20㎝ほどから1mにも伸びるオオミスジコウガイビルが生息している。
湿った場所を好むため、雨上がりなどには、人家付近のブロック塀や石の上などにいるのが見られる。
肉食生物で、ナメクジやカタツムリ、ミミズを捕獲すると、消化液を出し、獲物を溶かしながら捕食する。
ヒルではないため、人間に対する害はほとんどない。

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頭部は半月型

■学名:Bipalium fuscatum
■生活環境:湿った場所
■分類:ウズムシ目コウガイビル科
■大きさ:全長1.3〜12cm
■分布:日本、インドネシア、 インドなど
■毒性:なし
■攻撃方法:なし
■日本での入手可能性:野外で採集可能
■およその寿命:不明
■食性:ナメクジやカタツムリ、ミミズ
■飼育する場合の餌:ナメクジやカタツムリ、ミミズ
■活動する時間帯:夜行性


▼動画

▼コウガイビルの奇妙な生態。ナメクジのような困り者。
http://matome.naver.jp/odai/2134663845540067501